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風立ちぬ


 

8/1に見に行ってきました。1日は感謝デーで映画料金1000円均一だったので人はかなり多かったです。

ジブリ映画は3年前に見に行った「借りぐらしのアリエッティ」を最後に劇場には見に行ってなくて(正直ジブリは自分の中で当たり外れも多いから)しかもそれも付き合いで見に行っただけだったので、自分から足を運んだのは実に「平成狸合戦ぽんぽこ」以来だったと言うwTV放映やDVD化するたびに全作品ちゃんと見てはいるんですが。
ジブリファンだとは口が裂けても言えませんが、金髪より黒髪のハウルが大好きだし、アシタカはジブリの男性キャラの中で1番カッコいいと思うし、千と千尋で出てくる食べ物はホントに美味しそうだと思う(ちょっと意味が違う)
ジブリ制作ではないけど、宮崎さんの監督作品では「風の谷のナウシカ」が1番好きで当時アニメージュでの連載も読んでて、未だに実家に原作本がある。今度帰った時持って帰ってくるか…

見に行った人の評価が分かれているのは、子供向けファンタジーのようにわかりやすくもなく、ハイテンションではないから、だと。物語の進み方が淡々としているので確かに小学生以下の子だと退屈するかもしれない。わたしの席の近くには男子高校生らしいグループも何組か座っていたんですが、彼らは見終わった後どんな感想をもったんだろうか。ちょっと聞いてみたかった気がする。飛行機好きだと言うんなら納得ですが。

繰り返し見たい映画ではないけれど、映像も音楽も綺麗。見ていて手に汗握る事はないけれど、静かな気持ちでストーリーを追える、そんな映画でした。宮崎さんは試写を見て泣いてしまったそうだけど、泣けるかどうかと聞かれたら「泣く前に終わってしまった」と言う言い方があってるかもw



上映時間は2時間半。主人公堀越二郎が自分で設計した飛行機を操縦する所から映画は始まるのだけれど、この夢の描写が二郎の転機に合わせて実にいいタイミングで挟み込まれる。飛行機で始まり、飛行機で終わる。この映画のもう1人の主人公はまさしく飛行機だと言ってもいいと思う。今風に言えば二郎は、鯖の骨の曲がり具合から飛行機設計のヒントを得るほどの飛行機オタク。

映画を見た多くの人が印象に残ったであろう関東大震災のシーン。巨大な蛇数匹が地を這うような描写が不気味で、大地の怒りと呼ぶに相応しいものだった。「昭和を描くにはやはり関東大震災からでないと」と宮崎さんが言っていたのも頷ける。やがて訪れる金融恐慌、満州事変、日中戦争を経て第二次世界大戦へと突入していく歴史の流れは、やはり大震災が大きなきっかけになったはずである。
飛行機=戦闘機と位置づけられたこの時代を描いていながら、戦争の直接的描写は殆どない。とにかく飛行機は色んな物がいっぱい出てくるけど。

偶然にも同じ汽車に乗り合わせた事で、二郎は里見菜穂子と運命の出会いを果たす。その後地震が起こって被災し、彼女を無事家まで送り届けた後二郎は名乗る事もせずその場を立ち去る。
時は流れ、度重なる試験飛行の失敗で失意の内に軽井沢へ休暇に来ていた二郎は、同じく軽井沢に来ていた菜穂子と10年ぶりに再会する。菜穂子にプロポーズする二郎は当然創作なのだろうけど、淡々としていながら確かに熱いものを秘めていて、この辺が唯一の盛り上がりなのかなと思った。

母を結核で亡くしたと言う菜穂子は、奇しくも同じ病にかかっていた。それでもいいですか、と二郎に問う菜穂子は、2人の将来のために高原病院で療養生活に入るが、二郎恋しさに病院を抜け出し、東京へ戻ってきてしまう。義父からの知らせで東京駅で菜穂子を捕まえた二郎は上司の黒川に菜穂子と一緒に暮らしたいと頼み、急遽黒川夫妻の立会いの元祝言を挙げ、晴れて夫婦となる。
結婚しても病気のためほぼ寝たきりの生活を送る菜穂子。2人の時間は多忙な二郎が帰宅してから寝るまでの数時間しかない。帰っても設計図を広げ仕事をする二郎の傍らで「そういう時の二郎さんを見ているのが1番好き」だと言う菜穂子の手を握りながら、もう片方の手でスケールを使う二郎が「もう離してもいいかな」と問うと「ダメ」と答える菜穂子のやり取りが新婚さんらしくてとても初々しい。
けれどその甘い生活は突如終わりを迎えた。菜穂子は書置きを残し二郎の元を去っていった。黒川夫人の「1番綺麗な時を見せておきたかったのね」と言う言葉で、菜穂子の命が長くない事がわかる。二郎と過ごした生涯で1番美しい時間を抱きしめるかのように歩いていく後姿が胸に迫ってくる。菜穂子の最期は映画の中ではっきりとは描かれなかったけど、ラストシーンの夢の中での登場で、そこは察してあげてくださいと言われたような気がした。

菜穂子が去ってしまっても戦闘機の設計を続けた二郎は、ついに零式艦上戦闘機(零戦)のテスト飛行に成功する。彼の作った美しい飛行機はやがて戦地に飛び、そして一機も帰って来る事はなかった。カプローニとの夢の中で、破壊された零戦が一面に広がる草原を歩きながら二郎は「一機も帰って来ませんでした」と呟く。涙を流す事も憤る事もなく、ただ淡々と事実を告げる。

二郎役の庵野さんは、トトロのお父さん役の糸井さんに負けないくらい棒だったけど(酷)その訥々とした喋りがこの物語に必要だったのだろうなと思う。唯一感情が出ているなと思ったのは菜穂子とのシーンくらいですね。菜穂子役の瀧本美織さんと本庄役の西島秀俊さんは上手かったし、黒川さん役の西村雅彦さんはいい味出してた。二郎と菜穂子の祝言の席で言葉に詰まって思わず涙が、なんていい上司だなぁ。

偶然にも夕べのNHKEテレ「SWITCHインタビュー 達人達(たち)」で、宮崎さんと作家の半藤一利さんの対談を見ていたのですが、声に拘る理由として「堀越二郎はよくしゃべる人間じゃないから存在感が大事。演技してもらうよりぼそっとしゃべる方がいいから、庵野がいい。この人は芸達者だとか言われる人には納得できない」と言っていて、言う事に全て納得できる訳じゃないんだけど、一理あるかもなと。かといって、明らかに不慣れな芸能人連れてくるのはやめて欲しいけど、これからも「私生活で存在感のある人」なら使うと言う謎な選択肢は続くんだろうな。

映画見終わった後って大なり小なりテンション上がってるものなんだけど、これはすんなり現実に戻っていけたなーと言う妙な後味が(笑)菜穂子が亡くなるシーンがあったらきっとやるせない気分になっていたと思うけど、「えっ、ここで終わりなの?」的な引き際のよさもあったのかなとは思う。
音楽もよかったし、抒情的な美しさのある映画でした。「生きねば。」と言う短いけれど重みのある言葉が今の時代だからこそ響いてくる、そんな気がします。


有妃 | 映画、舞台 | - | -
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